鉛筆ができるまで

鉛筆は、芯(しん)の部分と木の部分で作られています。芯も木の部分も、人の技術がギュッと詰まっています。
芯や木がどんな道のりで、普段わたしたちが使う鉛筆の姿になるのか、ひとつひとつの流れを見てみよう。

黒鉛(こくえん)と粘土(ねんど)をまぜる

黒鉛(こくえん)と粘土(ねんど)に水を加えてよくまぜ、ねり合わせます。

このとき粘土を多くまぜると、芯はかたくなります。
鉛筆の硬さ(HBなど)は、黒鉛と粘土の割合で決まります。


おしつぶして長さを切りそろえる

ねり合わせた材料をおしつぶして、丸い筒の形にします。
芯の太さに合わせた穴からおし出して、20センチほどに切りそろえます。
そうすることで、芯の太さと長さができあがります。
ただ、このときはまだ、芯は柔らかい状態です。

熱で焼き上げて冷ます

乾燥機(かんそうき)で芯を乾燥させたあと、1,000℃?1,200℃の熱で焼きかためます。
その後に熱い油(あぶら)をしみこませて、ゆっくり冷まします。
油をしっかりしみこませることで、なめらかで書きやすい芯ができあがります。

木を板の形にする

鉛筆の木の部分になる、板を用意します。
鉛筆の木の部分にぴったりなのは、以下のような木の板です。

  • ふしがない
  • きめがこまかい
  • 木目(もくめ)がまっすぐ


板に「みぞ」をほる

用意した板に、芯が入る「みぞ」をまっすぐほります。

芯を板にくっつける

ほった「みぞ」に接着剤をぬり、芯をくっつけます。

もう一枚の板で芯をはさんで重ねる

芯をはさむようにして、もう一枚の板を重ねてはり合わせます。

このときそれぞれの板に、1本の「すじ」をいれます。
この「すじ」をいれることで、鉛筆のかたちにするときに、ずれないで削り出すことができます。


上がわを鉛筆のかたちにけずる

重ねた板の上がわを鉛筆のかたちにけずります。

下がわを鉛筆のかたちにけずり、切りはなす

下がわも鉛筆のかたちにけずり、1本1本切り離します。

このときそれぞれの板にいれた1本の「すじ」に沿ってけずることで、上がわと下がわでずれないようにけずり出すことができます。


鉛筆のまわりに塗料(とりょう)をぬる

ここまでで、鉛筆のかたちができあがりますが、まだ鉛筆は木目のままです。
ここで鉛筆のまわりに塗料をぬっていきます。
なんどもかさねてぬることで、しっかりと塗料が鉛筆にのります。

塗料が不充分だと、木目がすけて見えてしまいます。


両はしを切り落として、文字をいれます。

はみだした塗料などが付いた両はしを切り落とします。
そのあと、文字やマークなどを1本1本スタンプでいれていきます。


よごれやきずなどがないかしっかり検査(けんさ)して、鉛筆の完成です。

資料提供:日本鉛筆工業協同組合(えんぴつ大好き)1997年10月制作より